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赤川次郎「晴れ、ときどき殺人」の軽快さ

今回は予告通り、赤川次郎ベストセレクションである
「晴れ、ときどき殺人」を読みました!

この本を購入したのは前回の「悪妻に捧げるレクイエム」と一緒でしたが、
最初に目に留まったのは実はこちらでした。
なぜかと言えば、東野圭吾が書いている帯の言葉が気になったからです。
「一行目からドラマが始まる。
 二行目にはクライマックスに向かっている。 東野圭吾(作家)」
とあったので、思わず手に取って、
「へぇ、赤川次郎ベストセレクションかぁ♪」なんて思ったわけです。

読んだ後、確かに上記の東野圭吾の帯の言葉通りであることが分かりました。
話自体はすごく軽快に進みます。
ほんとに「ときどき」殺人が起きて、結局4人が殺されることになります(笑)
すごいのは舞台がほとんど移動しないことです。
ほとんどひとつの部屋とひとつの隠し部屋だけで物語が進みます。
いわゆる「ワンカメ」をイメージするのがいいかと思います。
あとは劇場で芝居を観る感覚が一緒だと思います。
そういう限られた舞台の中で、主人公の少女が亡くなった母親の
意思を受け継ぎつつ、ある事件の犯人探しをするといった内容です。
そこに恋愛のテイストが加わって、おもしろおかしく描かれていて、
読み終わったあとは4人が殺される凄惨な話には思えず、
なんとなく清涼感があります。

そういうわけで、やはりさらっと読み終わってしまいました。
こういう気軽に読める感じが赤川次郎作品のいいところだと思われます。
また来月にはベストセレクションとして2冊出るようなので、
楽しみにしたいと思います♪

晴れ、ときどき殺人 改版 Book 晴れ、ときどき殺人 改版

著者:赤川 次郎
販売元:角川書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する

(赤川次郎「晴れ、ときどき殺人」関連のココログ)
今のところなし?

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赤川次郎「悪妻に捧げるレクイエム」の「ずらし」

突然ですが、今回は赤川次郎の作品を恥ずかしながら初めて読みました。
なぜにいきなり赤川次郎?って思われる方もいるかもしれません。
実は以前からずっと読んでみたかったのですが、
なにせ出ている作品数が多すぎて、何から手をつけたらいいのかと
思っていたのです。

で、ちょうど本屋を歩いていて、見つけたのが
『赤川次郎ベストセレクション』なる帯のついた
「悪妻に捧げるレクイエム」と「晴れ、ときどき殺人」の2作品なのでした。
これから定期的に刊行されるようなので、
私のような初心者にはまさにうってつけ!
刊行に合わせて読んでいこうかと思っています。

今回はまず「悪妻に捧げるレクイエム」という作品なのですが、
なんといってもとても読みやすく一気に読んでしまいました。
共同で小説を執筆する4人の男がそれぞれの妻との関係に
問題を抱えている中、「妻を殺す方法」なるテーマで
各人が思い思いの小説を書くのですが、
それが現実とオーバーラップしていくという内容。

4人の男はそれぞれに特徴を持っていて、どれをとっても魅力的でした。
。。。と思っていたら、解説を読んでこれはちゃんとそう思わせる作家の技術が
あるんだと知って、ちょっと驚きを受けました。

要は4人が4人の全く違う個性を示すことで、それぞれをより際立たせている
「ずらし」が存在しているこそなのだという。
しかもそれが同じテーマの中に存在するという点にすごさがある。
2人の登場人物だけでも文章だけで個性を表すのには苦労するだろうし、
なおかつそれを同じテーマの上で踊らせるとなると
さらに厄介だろうと思うからである。
なので、4人の思想や生活感がを際立たせる為に、精緻な表現をしつつも
すごく読みやすい小説に仕上がっているのは脅威的だと思ってしまいました。
赤川次郎おそるべし。

というわけでちょっと嵌りそうな予感があります。
次は当然「晴れ、ときどき殺人」を読もうと思います。

悪妻に捧げるレクイエム 改版 Book 悪妻に捧げるレクイエム 改版

著者:赤川 次郎
販売元:角川書店
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(赤川次郎「悪妻に捧げるレクイエム」関連のココログ)
今のところなし?

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伊坂幸太郎「陽気なギャングが地球を回す」の痛快さ

今回は「陽気なギャングが地球を回す」を読みました!
伊坂幸太郎作品はこれで2作目になります。
既に映画化されているので、観られた方もいるかもしれません。

実は彼の作品の文庫になっているものは全て揃えてあったりします(笑)
その中で、今回この作品をいち早く読んだのは、
「アヒルと鴨のコインロッカー」の記事
にコメントを寄せて頂いた「青波男」さんの情報がきっかけです。

「青波男」さんによれば、「アヒルと鴨のコインロッカー」に今回の作品の
登場人物が登場しているとのこと。
で、確かにいました!(笑)
読んですぐには「ん?誰だろう?」という感じで分からなかったのですが、
「アヒルと鴨~」の方をぱらぱらと読み返して気付きました!
こういうのは面白いですね。
情報を教えて頂いた「青波男」さんありがとうございました!

それはさておき作品の中身の方ですが、痛快な作品でした。
一応登場する4人の主人公は銀行強盗、いわゆる「ギャング」なのですが、
悪人特有の「暗さ」というか後ろ向きな雰囲気がないのが新鮮です。
「アヒルと鴨~」を読んだときに感じた爽やかさと同類の雰囲気です。

しかし、最終的には「アヒルと鴨~」は切ない話でしたが、
こちらは商売敵にいっぱいくわせるような内容で、
楽しい雰囲気も手伝って、かなり胸がスカッとしました。
そういう意味でシリアスなものを読みたい方には向きません。
むしゃくしゃしてる時に読むのがいいでしょう(笑)

知ってる方も多いかと思いますが、この作品には続編が既に出ているので、
読みたいのですが、まだ文庫が出ていないんですよね、これが。。。
早く出ないかな~^^。
ただ、まだ他の作品もいっぱいあるので、
それを読みながら待つこととします!

陽気なギャングが地球を回す Book 陽気なギャングが地球を回す

著者:伊坂 幸太郎
販売元:祥伝社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

(伊坂幸太郎「陽気なギャングが地球を回す」関連のココログ)
読書のある日常
ゴルダースグリーンの星☆
movieloverの日記
☆読書の森☆

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横山秀夫「動機」に見る人間の脆さ

今回は前回の予告通り横山秀夫の「動機」です。
この文庫には下記の短編が4編収録されています。

①動機
②逆転の夏
③ネタ元
④密室の人

読んで気付いたのですが、①以外はいわゆる
「警察小説」ではないんですね、これが。

①は「陰の季節」で描かれていたような警察内部の物語です。
②については「殺人の前科のある男」の話ということで、
東野圭吾の「手紙」を思い出しました。
衝動的に殺人を犯すという意味では設定を一緒なのですが、
「手紙」がなんとなく悲しいラストであるのに対して、
この作品は前向きなラストであったのが印象的でした。
そして、③は新聞記者、④は裁判官と
様々な境遇の人物の物語になっていますが、
いずれも人間の脆さを痛感するような作品になっています。

一歩間違えば誰でも犯罪、そこまではいかなくても「人の道」を
踏み外してしまうといったことが現実味を帯びて伝わってきました。
何かわけもわからず「気をつけなきゃっ!」と身が引き締まる思いでした(笑)

でもやっぱり横山秀夫の長編が読みたい!
って思ってしまっています。
何か長編の方がやや派手さがあってバランスがいい気がします。
次に読む横山秀夫は長編にしたいと思っています。

動機 Book 動機

著者:横山 秀夫
販売元:文藝春秋
Amazon.co.jpで詳細を確認する

(横山秀夫「動機」関連のココログ)
マムやんの不定期便
いろんなつぶやき
朴念仁と居候

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横山秀夫「陰の季節」の渋さ

今回は横山秀夫の「陰の季節」を読みました。
ちょっと前に「第三の時効」を読んで、作者の書く警察小説なるものが
その評判通りの面白さだったので、続けて読もうと思っていたものです。
(ちょっと前によく遊びに来てくれるルイさんも
 同作品を読んで、記事を書いていますので、併せてどうぞ)

本作品には全部で4つの短編が収録されており、
いずれも舞台は「D県警」となっています。
但し、同じように警察が舞台でも「第三の時効」とは違って、
いわゆる刑事が活躍する「現場」ではない所が舞台となっています。
従って、殺人事件なんて全く起こりません。
で、何が起きるかと言えば、警察内部の人事上の問題、
あるいは内部告発といった事柄が「事件」となる。
それに対して警察内部の主人公が心理戦を繰り広げるのだが、
この辺りの手法は「第三の時効」にある手法そのものと言えます。
上記のような主題および手法の両面から世界観全体が
なんともいえない「渋さ」を帯びています。

また、全編を通じて主人公の「出世」に対する考えがテーマになっています。
私も一応、会社で働く1サラリーマンではあるので、
「出世」に対して考えさせられるものがありました。
若干話は逸れますが、ちょっと前にニュース等で今の学生の
「偉くなりたい」と思っている人の割合が一昔前に比べて減っているそうです。
私も出世が全てとは思いませんが、ある程度「上を目指す」という人が
いるというのも、この社会が進歩していく条件だと感じているので、
ちょっと憂うべき事態かなと思います。
若者がこういう本を読んで、もうちょっと真剣に「出世」について、
考える機会を持つといいのになとちらっと考えた次第です。

というわけで、十分に面白いと思える作品だったのですが、
実は私はある程度「現場」の刑事を描いていることを
期待してた部分があって、個人的には若干拍子抜けしたのは事実です。。。
同じようにミステリー(探偵小説)としての面白さを求めてる方には
向かないかもしれません。

次回はこの「陰の季節」と趣を同じくする「動機」を読みたいと思っています。

陰の季節 Book 陰の季節

著者:横山 秀夫
販売元:文藝春秋
Amazon.co.jpで詳細を確認する

(横山秀夫「陰の季節」関連のココログ)
ルイの気まぐれ日記 ユメココチ
象の歩むがごとく
スタッフルーム

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乙一ランキング(文庫単位)

本日は予告通り個人的に行った勝手な
「乙一ランキング」です。
結果は下記の通りとなりました!
(各作品の題名クリックで私の各批評に
 飛べるようになってます(^^)v)

第1位 GOTH
第2位 ZOO
第3位 失われる物語
第4位 夏と花火と私の死体
第5位 暗いところで待ち合わせ
第6位 失踪HOLIDAY
第7位 暗黒童話
第8位 平面いぬ。 
第9位 死にぞこないの青
第10位 天帝妖狐
第11位 さみしさの周波数
第12位 きみにしか聞こえない -CALLING YOU-

ちなみに上記の結果はあくまで「文庫」単位での評価です。
「作品」単位ではないので、誤解なきよう。
(短編が多いので少々強引かもしれませんが。。。)
そういう意味では6、11、12位の文庫は
ほとんどの作品が3位の「失われる物語」に
収録されているので、評価は低めになるということになります。
そう考えると逆に「失踪HOLIDAY」の6位は
かなりの高評価と言えます。

第1~3位のランキングは差がほとんどなく非常に悩みました。
その人の読みたいものによって判断が
分かれる所ではないかと思います。
ただ、やはり私は「森野夜」と「僕」の絡みが好きなので、
「グロい系(黒乙一)」代表という意味でも「GOTH」を
1位に挙げさせてもらいました。
「ZOO」は何でも書ける乙一の実力を
堪能できる一冊ということで2位。
3位の「失われる物語」は上記の通り「切ない系(白乙一)」の
作品が凝縮されているので、それが読みたいならば
まずは迷わずこれです。

「夏と花火と私の死体」が4位ですが、
きっとこれも私的には好きですが、
評価が分かれる作品のひとつかなと思います。
逆に5位の「暗いところで待ち合わせ」がもっと
高く評価する人が多いかもしれません。
そういうわけで、いろんな方からの賛成・反対意見待ってます!

というわけで、一旦これで乙一の読書生活は終了!
次は多分「銃とチョコレート」が文庫化されたら
って感じでしょうか(笑)

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乙一「暗いところで待ち合わせ」はレアな作品かも?

今日は予告通り乙一の「暗いところで待ち合わせ」について、書きます。
私にとってはこの作品が乙一を読んだ最初の作品です。
当初は乙一の作品にこんなに嵌るとは思っていなかったのを思い出します。

元々「乙一」っていう作家については話を聞いていて、
面白そうだから一度読んでみようと思って本屋に行ったのですが、
その時選んだのがこの作品でした。
選んだ理由は適度な長さで、かつ、なんとなく有名そうで。。。
(当時ちょうど田中麗奈主演で映画化されるっていう帯が付いていた)
っていう曖昧な基準で選んでいました。

そういえばこの作品が書かれた経緯には面白いエピソードがあります。
「死にぞこないの青」の記事に書いてますので、合わせて読んでみて下さい。

それで今思えば乙一の作品としてはとてもレアな作品なんだなと思います。
なぜなら他の作品にはかなりSFの要素が強くて、
現実的にはありえない事の積み重ねがそのまま物語になっているのですが、
この「暗いところで待ち合わせ」はそういう要素がないように思います。
(盲目の少女が一人暮らししているという危なっかしい設定はありますが、
 現実に絶対ないことではないという意味で)

また、どちらかというと「切ない系」だとは思いますが、
全く「グロさ」はなく、そういう意味でもレアな作品かもしれません。
とりあえず普通の小説における乙一の力量を知るのには
ちょうどいいかもしれません。

それでも今まで読んだ他の作家の作品と毛色が違うなとは
感じましたし、それに引き込まれてこの後いろんな
乙一作品を読むきっかけになったと思っています。
まず最初に読む乙一本としてもお薦めかもしれません。

というわけで、これで今まで読んだ乙一作品の批評は漏らさず
書き上げたことになります!
明日は勝手に「乙一作品ランキング」やります!

Otuiti20112_2
Book                   

                                                                                                 
        暗いところで待ち合わせ        
        著者         乙一
販売元幻冬舎
定価(税込)¥ 520



(乙一「暗いところで待ち合わせ」関連のココログ)
輝佳の日記~そらもよう~
31ct.読書部屋 (上の画像拝借しましたm(__)m)
☆あっちゃんのブログ☆
史満堂書店
ウタウヒト

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乙一「暗黒童話」の不気味さと切なさ?

前回予告した通り、今回は乙一の「暗黒童話」です。
この作品は珍しく長編で、短編集の形をとっていません。
おそらく長さとしては乙一の最長作品になるのではないでしょうか?
そういう意味では貴重な作品かもしれません。
(「GOTH」を長編と捉えれば微妙な線ですが)

この作品ははっきり言って「グロい」の一言に尽きます。
もしかしたら最も乙一作品の中でも最も「グロい」のでは?
と思えるほど、想像するだけでおぞましい表現が頻発します。。。
猟奇殺人のような事件の一部始終を語っているのですが、
その犯人は「傷付けても傷付けられた生物は死なない」という
特殊な力を持っているという設定です。
「ちゃんと医者になって、医療に役立ててればいいのに」
なんていう超現実的なことを考えてしまうのは私だけでしょうか?(笑)

従って、傷付けたり変形させたりとまぁ、やりたい放題なんですが、
された側は痛みもなく平気な状態というすごく不気味な状態の
描写がいくつも出てきます。
但し、やはりそこは乙一だけあって「グロい」
だけじゃないのが、すごいところです。
その根底にある「アイのメモリー」という童話の主題はなんとなく
胸を打つものがありますし、(若干ふざけた名前ですが)
主人公の心の移り変わりはまさに「切ない系」のそれを感じさせます。

「グロい」描写を苦手とする方にはお薦めできませんが、
個人的には嫌いではないという感じです。
逆にその対比が面白いかなと思います。
但し、物語に入り込んで。。。というわけにはいかず、
ちょっと客観的に読まざるを得ない気がします。

というわけで、これで今のところ刊行されている乙一作品は全て制覇です。
で、「いざランキング!」といきたいところでしたが、
そういえば一作だけこのブログで批評してない作品がありました。
それは「暗いところで待ち合わせ」。
なんとなくすっきりしないので、明日はこの批評を書きたいと思います。

暗黒童話 Book 暗黒童話

著者:乙一
販売元:集英社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

(乙一「暗黒童話」関連のココログ)
つれづれ日記
うちっかわ
タイラント・アイランド


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