« 2007年5月 | トップページ | 2007年7月 »

茂木健一郎「脳と仮想」の世界観

今回はミステリーから離れたものを読んでみた。
茂木健一郎の「脳と仮想」である。
作者はテレビ番組にも頻繁に出演している関係で、
所謂有名人になっているので、ご存知の方もいるかと思う。

一度著作を読んでみたいと思っていたところで、
ちょうどこの「脳と仮想」が文庫化されたので、購入してみた。
かなり堅い内容になっていることも覚悟して読み始めたが、
これがすらすらと読んでしまえた。

全編を通してのキーワードはやはり有名となった「クオリア(感覚質)」である。
「サンタクロースは存在するか?」という女の子の疑問から、
この本は始まるのだが、考えれば考えるほど、難しい疑問であることが分かる。
「いない」と言うのは簡単だが、ではなぜこれほどまでに
存在しない存在(?)がこの世の中に影響を及ぼすのだろうか?
きっとこの答えを明確に出せる人はそうはいないだろうと思った。
間違っているかもしれないが、おそらくは誰もが感覚的に存在を
認めてしまっているのが、サンタクロースであり、
そういう感覚的なものをクオリアと呼んでいると思われる。

ゲーム世界と仮想の関係や日本古典文学の中に現れる
「クオリア」が紹介されていて、新鮮に受け止めることができた。
作者は本書の中で、芸術は人の心を傷付けることで感動させると
書いており、夏目漱石や樋口一葉の作品に「やられた!」
と思い、感動したそうである。
私は確かにいい作品を見たり、読んだり、聞いたりすると「やられた!」
と思うよなぁと共感し、またこの作品自体に「やられた!」と思ったりした。

そんなわけで、いろいろと脳の普段使わない部分を刺激してくれる
作品だと思いました。どんな人にもお薦めだと思います。
この本に紹介されているいくつかの作品は今後読もうかと思っています。
(かなり前に読んだことがあるものも含まれていますが、忘れていたりするので(笑))
もしかしたら先に読んでおくのもいいかもしれないと思ったので、
下記に書いておきます。参考にしてみて下さい!

樋口一葉「たけくらべ」
小林秀雄「無常という事」「本居宣長」
夏目漱石「坊っちゃん」「それから」

脳と仮想 Book 脳と仮想

著者:茂木 健一郎
販売元:新潮社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

(茂木健一郎「脳と仮想」関連のココログ)
茂木健一郎 クオリア日記 (正にご本人のHP)
拝啓、茂木健一郎様
One Size Fits All 
やさしい医療をめざして
りす村blog館
あしたに続く橋
読書記録

| | コメント (0) | トラックバック (0)

横山秀夫「顔」に見る女の意地

なんだかまた更新が遅れに遅れると同時に
3冊ほど読了作品が溜まってしまいました。。。

今回は横山秀夫の「顔」です。
次に読む横山秀夫は長編でと思っていたのですが、
出版されている文庫は短編集ばかりのようなので、
それならば「以前読んだものと少しでもリンクがある作品!」
ということでこの作品を手に取りました。

本作品は以前読んだ「陰の季節」に収録されている
『黒い線』という作品に出てくる「似顔絵婦警」こと平野瑞穂巡査が主人公です。
短編集ではあるんですが、全編通して同主人公、かつ
時系列に並んでいるので、長編としても成り立っています。
仲間由紀恵の主演で映画化もされているようですが、観たことはありません。
(いつもそういうのが多いですが(笑))

この作品では主人公の「女の意地」が感じられます。
実際にはどれほどか分かりませんが、警察というのはやはり
男社会が色濃く残っているのかなぁと思ってしまいます。
現在、ほとんどの場面で男女差別は無くなってきているとは言いますが、
多かれ少なかれ残っているのは事実ではないかとは思います。
私自身も女性に対して、完全に対等に見れているかと問われると
無意識に見れていない時があるかもしれないなと思う時があります。
幸い私の働く業界は男女格差を著しく感じることは皆無ですし、
また、女性の方の方が優秀だと思うことがよくあるので、
表立ってそういうのが態度に現れることはないですが。

とにもかくにもそういう男女差を感じてしまう職場で働く女性には
共感を持って読むことができる作品かもしれません。
また、男性にとっては職場の女性を見る目が変わるかもしれません。
女性の心理描写も巧みの一言に尽きます。
改めて横山秀夫の心理描写の巧みさには下を巻きました。
というわけで「陰の季節」を読んだ後、
もう少し読みたいという人にお薦めの一冊です!

顔 FACE Book 顔 FACE

著者:横山 秀夫
販売元:徳間書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する

(横山秀夫「顔」関連のココログ)
今のところ無し?

| | コメント (0) | トラックバック (0)

志水辰夫「行きずりの街」のキザさ

今日は昨日に続き、更新をさぼっていた分の書評である。
志水辰夫の「行きずりの街」という本なのですが、
これが最近の文庫の売上げランキングを賑わしている一冊なのです。

私は帯に書いてあった『1991年度「このミステリーがすごい!」第1位』
に惹かれて買ったのですが、きっとそういう人が多いのでしょう(笑)

個人的には「このミステリーがすごい!」のランキング上位の本には、
裏切られた事がないのですが、今回も裏切られるどころか、
「読んで良かった!」と思える作品だと思いました。

最近私が読んでいたものは割と現代風のライトな感覚のものが
多かったからかもしれませんが、この作品はとにかく「重厚」というか、
「濃密」というか、そういう印象を受けました。
久々にどっぷりとミステリーに浸かった気になりましたね。

解説等で「シミタツ節」と呼ばれているキザな表現が、
いたる所に散りばめられているのも印象的でした。
主人公の硬派なイメージを増幅するとともに、
場面場面をきりっと引き締める効果があるように思いました。
ヒロインとの絡みは目を背けたくなるくらいです(笑)

同作者の別の作品も読んでみたいと思いました。
解説に同作者の「背いて故郷」という作品が、
この作品とベスト1を争う小説だということなので、
まずはそこを押さえようかと思っています。

というわけで、ちょっと重めのずしんと来る作品を読みたい方にはお薦めです。

行きずりの街 Book 行きずりの街

著者:志水 辰夫
販売元:新潮社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

(志水辰夫「行きずりの街」関連のココログ)
快読ブログ
おさるのゆくえ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

森博嗣「イナイ×イナイ」の接点

しばらく更新をさぼっていたのですが、その間に既に3冊を
読み終わっているので、続けて更新していこうと思っています。
(何気に最近読むのが早くなってるかも!)

今回はまず森博嗣の最新作「イナイ×イナイ」です。
これは新シリーズとなる「Xシリーズ」の第一作目となります。
ちなみに作者のHPに書かれているように以前から続いている
「Gシリーズ」はまだ途中で完結していないようです。
(Gシリーズについては2作ほど当ブログでも取り上げていますが、
 なんだか中途半端なので、今後書いていこうかと思っています)

前作の「ηなのに夢のよう」に登場した「椙田泰男」と「真鍋瞬市」が
登場しており、彼らを中心に物語が進んでいます。
おそらくそのうちGシリーズとクロスするような接点が
描かれていくのを予感させます。

そんでもって、作者が同HPで語っているように作品は
新しさあってのレトロな感じに仕上がっています(笑)
大きな屋敷、地下の抜け道、ランプの明かり等々、
一昔前のミステリには欠かせないシチュエーション、アイテムが
盛り込まれているように感じました。
謎解きという意味ではトリックが今回は分かりやすかった気がしますが(笑)
森博嗣のシリーズ作品は1冊がどうこうとういうのはないから、
次作品が気になってしまうのが罪なところですが。
というわけで次も楽しみに待つことにします!

イナイ×イナイ Book イナイ×イナイ

著者:森 博嗣
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

(森博嗣「イナイ×イナイ」関連のココログ)
今日の○○
トゥビ・オア・ナトゥビ
Artistaの気ままな日常
水樹の読書日記
おさるのゆくえ
趣味人じゅんぴんの日常
読んだ後に

| | コメント (2) | トラックバック (0)

« 2007年5月 | トップページ | 2007年7月 »