横山秀夫「顔」に見る女の意地

なんだかまた更新が遅れに遅れると同時に
3冊ほど読了作品が溜まってしまいました。。。

今回は横山秀夫の「顔」です。
次に読む横山秀夫は長編でと思っていたのですが、
出版されている文庫は短編集ばかりのようなので、
それならば「以前読んだものと少しでもリンクがある作品!」
ということでこの作品を手に取りました。

本作品は以前読んだ「陰の季節」に収録されている
『黒い線』という作品に出てくる「似顔絵婦警」こと平野瑞穂巡査が主人公です。
短編集ではあるんですが、全編通して同主人公、かつ
時系列に並んでいるので、長編としても成り立っています。
仲間由紀恵の主演で映画化もされているようですが、観たことはありません。
(いつもそういうのが多いですが(笑))

この作品では主人公の「女の意地」が感じられます。
実際にはどれほどか分かりませんが、警察というのはやはり
男社会が色濃く残っているのかなぁと思ってしまいます。
現在、ほとんどの場面で男女差別は無くなってきているとは言いますが、
多かれ少なかれ残っているのは事実ではないかとは思います。
私自身も女性に対して、完全に対等に見れているかと問われると
無意識に見れていない時があるかもしれないなと思う時があります。
幸い私の働く業界は男女格差を著しく感じることは皆無ですし、
また、女性の方の方が優秀だと思うことがよくあるので、
表立ってそういうのが態度に現れることはないですが。

とにもかくにもそういう男女差を感じてしまう職場で働く女性には
共感を持って読むことができる作品かもしれません。
また、男性にとっては職場の女性を見る目が変わるかもしれません。
女性の心理描写も巧みの一言に尽きます。
改めて横山秀夫の心理描写の巧みさには下を巻きました。
というわけで「陰の季節」を読んだ後、
もう少し読みたいという人にお薦めの一冊です!

顔 FACE Book 顔 FACE

著者:横山 秀夫
販売元:徳間書店
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(横山秀夫「顔」関連のココログ)
今のところ無し?

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横山秀夫「動機」に見る人間の脆さ

今回は前回の予告通り横山秀夫の「動機」です。
この文庫には下記の短編が4編収録されています。

①動機
②逆転の夏
③ネタ元
④密室の人

読んで気付いたのですが、①以外はいわゆる
「警察小説」ではないんですね、これが。

①は「陰の季節」で描かれていたような警察内部の物語です。
②については「殺人の前科のある男」の話ということで、
東野圭吾の「手紙」を思い出しました。
衝動的に殺人を犯すという意味では設定を一緒なのですが、
「手紙」がなんとなく悲しいラストであるのに対して、
この作品は前向きなラストであったのが印象的でした。
そして、③は新聞記者、④は裁判官と
様々な境遇の人物の物語になっていますが、
いずれも人間の脆さを痛感するような作品になっています。

一歩間違えば誰でも犯罪、そこまではいかなくても「人の道」を
踏み外してしまうといったことが現実味を帯びて伝わってきました。
何かわけもわからず「気をつけなきゃっ!」と身が引き締まる思いでした(笑)

でもやっぱり横山秀夫の長編が読みたい!
って思ってしまっています。
何か長編の方がやや派手さがあってバランスがいい気がします。
次に読む横山秀夫は長編にしたいと思っています。

動機 Book 動機

著者:横山 秀夫
販売元:文藝春秋
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(横山秀夫「動機」関連のココログ)
マムやんの不定期便
いろんなつぶやき
朴念仁と居候

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横山秀夫「陰の季節」の渋さ

今回は横山秀夫の「陰の季節」を読みました。
ちょっと前に「第三の時効」を読んで、作者の書く警察小説なるものが
その評判通りの面白さだったので、続けて読もうと思っていたものです。
(ちょっと前によく遊びに来てくれるルイさんも
 同作品を読んで、記事を書いていますので、併せてどうぞ)

本作品には全部で4つの短編が収録されており、
いずれも舞台は「D県警」となっています。
但し、同じように警察が舞台でも「第三の時効」とは違って、
いわゆる刑事が活躍する「現場」ではない所が舞台となっています。
従って、殺人事件なんて全く起こりません。
で、何が起きるかと言えば、警察内部の人事上の問題、
あるいは内部告発といった事柄が「事件」となる。
それに対して警察内部の主人公が心理戦を繰り広げるのだが、
この辺りの手法は「第三の時効」にある手法そのものと言えます。
上記のような主題および手法の両面から世界観全体が
なんともいえない「渋さ」を帯びています。

また、全編を通じて主人公の「出世」に対する考えがテーマになっています。
私も一応、会社で働く1サラリーマンではあるので、
「出世」に対して考えさせられるものがありました。
若干話は逸れますが、ちょっと前にニュース等で今の学生の
「偉くなりたい」と思っている人の割合が一昔前に比べて減っているそうです。
私も出世が全てとは思いませんが、ある程度「上を目指す」という人が
いるというのも、この社会が進歩していく条件だと感じているので、
ちょっと憂うべき事態かなと思います。
若者がこういう本を読んで、もうちょっと真剣に「出世」について、
考える機会を持つといいのになとちらっと考えた次第です。

というわけで、十分に面白いと思える作品だったのですが、
実は私はある程度「現場」の刑事を描いていることを
期待してた部分があって、個人的には若干拍子抜けしたのは事実です。。。
同じようにミステリー(探偵小説)としての面白さを求めてる方には
向かないかもしれません。

次回はこの「陰の季節」と趣を同じくする「動機」を読みたいと思っています。

陰の季節 Book 陰の季節

著者:横山 秀夫
販売元:文藝春秋
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(横山秀夫「陰の季節」関連のココログ)
ルイの気まぐれ日記 ユメココチ
象の歩むがごとく
スタッフルーム

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横山秀夫「第三の時効」のリアルな刑事像

今回は急に趣向が変わって横山秀夫である。
以前「クライマーズ・ハイ」とか「半落ち」を読んだので、
本書で3冊目ということになる。

この人は元々新聞記者ということもあって、
私は実に文章がある意味真面目でいつもうまいと感じる。
それといつも「男くささ」を存分に味わえるのだが、
今回もいつにもまして刑事達の「男くささ」がリアルに描かれている。
現在の警察小説の第一人者とまで言われているだけある。

本作品は6篇の短編集の形式をとっているけれども、
すべて「F県警」が舞台となっている為、
読むにつれてその内情が少しずつ分かっていくのが面白い。
個人的に一番面白いと思ったのは「密室の抜け穴」。
それまでの経緯を描いているだけで、
あとは会議室の中の攻防だけで事件が解決する。
(ネタばれになるので、詳細は述べません)

というわけで、もっと彼の警察小説を読みたいと思った次第。
実は既に大分前に「陰の季節」「動機」と2冊購入してあるので、
改めて読んで損はなさそうだと思ったのでした。
それにあとがきにも書いてあったのですが、
既に「第三の時効」の続編があるそうな。
早く刊行されて、文庫化されないかな~(って相当先になりそうだが^^)

第三の時効 Book 第三の時効

著者:横山 秀夫
販売元:集英社
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(横山秀夫「第三の時効」関連のココログ)
角筈日記
ポチ日記
新米主婦の備忘録。

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